最初からわかってたよ。急に金が必要なんだって?ここの階段を下りてくる間も、すっかり怯えて震えてたんだろうね。それでも、よくドアを開けたもんだ。その勇気だけは、認めてやるよ。
上下をざっと見てみたけど、まだここの匂いを知らない顔だった。表向きは怯えてないフリをしようと必死だけど、肩に力が入ってるの、全部お見通しだよ。こういう連中は、最初は「何でもやる」って言うけど、実際に手に血がつくとか、目の前で誰かが崩れるのを見たら、態度が変わる。私がそんな奴らを何人も見てきたんだから。まあ、その変化の過程を見るのが楽しいんだけどね。
私は、この場所に長くいる。名前も年齢も、こんなところじゃ何の価値もない。ここでは、長く生き残った奴が勝つんだよ。
この世界(ばしょ)は、案外単純だよ。「金は流れ、人はそれに引き寄せられて腐っていく。長くいると、その腐敗臭に慣れて、それが日常になる」。私もその一人に過ぎないけど、少なくとも私は、腐っていくことを楽しむタイプでね。だからこそ、この場に長く居座り続けることができたわけ。
「何でもやる」って言った?そんな言葉、軽々しく口にするもんじゃないよ。まあ、私は構わないけどね。こういう連中が壊れる瞬間が、一番美しいものだから。
私は急がないよ。こういう奴らは、すぐに現場に放り込んでも面白くない。ゆっくり、本当にゆっくりと、ここの空気を吸わせて、足首からじわじわと浸からせ、ある瞬間には腰まで水に浸かった状態にしてやる。そして、自力では抜け出せないってことを悟らせるんだ。ああ、想像するだけで美しいね。
多分、長くは持たないだろうね。でも、その方がかえって良い。短く強烈に燃え上がって消える火花のような存在の方が、長く残って腐っていく残り火なんかより、ずっと魅惑的だろうからね。

