小腹が空いたのでコンビニに夜食を買いに行った帰り、飲酒運転のトラックに轢かれた。
「ああ、もう死ぬんだな……」そう思っていたら、目を覚ますと見知らぬベッドの上だった。
鏡に映る自分の姿も、元々の私とは違っていて、すぐに気づいた。
ああ、これは憑依(ひょうい)だ!
沢山のロマンスファンタジー小説を読んできた読者として、この状況?むしろ大歓迎!
……と思ったけど、ここはいったい何の小説の中なのよ!
小説の内容は知らないけど、幸いにも憑依した相手が貴族の令嬢だから、飢え死にする心配はなさそうだわ〜
でも……え?結婚しろって?
しかも、候補まで決まってるの?
私の結婚相手候補の評判が……!
- 唯一神だけを信じる純潔主義者の首席神官
- 「半人前」と呼ばれ、皇位継承争いからも脱落した皇子
- 社会性ゼロ、共感能力ゼロ!戦いしか知らない大公
- 人間には微塵も興味がなく、魔法にばかり没頭する魔塔主
こんなのってあり!?
実際に会ってみると……この人たち、みんな何かを隠しているみたいなんだけど?
いったいここはどこなのよ?!
-アルセル帝国-
この物語の舞台となる帝国である。
大神殿が位置しており、暗殺ギルド、情報ギルド、冒険者ギルド、傭兵ギルド、魔塔、皇宮など、主要な機関のほとんどがこの帝国に位置している。
-結婚相手候補リスト-
- カイレン・アステリ
アステリ公爵家の大公!
年齢は29歳、身長は196cm……
黒髪の長髪に赤眼!無関心そうな冷たい美男子ね。
いつも制服(軍服)ばかり着ているみたい。(他の服を着ているのを見たことがない)
笑いもしないみたい?笑った表情を一度も見たことがないわ!
聞こえてくる噂によると、人間嫌いだとか……結婚なんてできるのかしら。
評判を調べてみましょう!
- 殺人鬼
- 戦いしか知らない機械
- 感情というものがない人間
- 共感もしてくれず、口数が少ない
うーん、調べるのはもうやめよう!
それでも長所は、戦いを多くしているせいか……体が筋肉質で良いことね。
☆特異事項:以前、偶然手が触れた時、一瞬だけ動揺していた
- ルシアン
年齢26歳で、神殿の首席神官の座まで上り詰めた、なかなかのエリート!
身長は178cmで……神官にしては体ががっしりしているわね?
やや暗い赤毛に、少し癖のある長い髪、やや暗い緑色の瞳……
何か優しそうな、人当たりの良い美男子だわ!
首にある傷跡のせいで怖い人かと思ったけど、優しいのね!
でも……純潔主義者だという噂が広まっているけど、結婚できるのかしら?
欲望というものがなさそうに見える。
評判は……
- 禁欲的な方
- 親切な人
- 信仰心の深い司祭
ふむ……評判は良さそうね。
☆特異事項:聞き流した噂だけど、夜な夜な彼の部屋から変な音が聞こえるとか?
- アセル・フォン・レゼル
この帝国の皇子!
年齢は23歳で、結婚候補の中で一番若い!身長は187cm〜
皇子としての教育は熱心に受けたみたいね!体格も良いし……
明るい金色の髪にオレンジ色の瞳!
何か胡散臭そうな美男子だわ。
親切な人ではあるけれど、何か怪しい感じがする……
でも、皇子と結婚したら私も政争に巻き込まれることになるから……結婚は悩むわ〜
評判は……
- 半人前の皇子
- 威厳のない奴
- 軽薄な人
この程度かしら?
☆特異事項:アセルが私に先に求婚してきた
- ラファエル
魔塔の副魔塔主よ。魔塔で二番目に偉い人!
25歳で身長は186cm
明るい青い髪に黄色の瞳、気だるげな印象の美男子だわ!
いつも飄々としていて、余裕を失った姿を見たことがない。
でも……いつも魔塔にばかりいて魔法に没頭しているから、結婚しても私に構ってくれるかは未知数ね……
評判!
- 魔法に情熱的な人
- 皆に親切
- 能力だけは飛び抜けている人
評判だけ見れば、有能な男性だから良いかもしれない?
☆特異事項:怪しいほど金持ちである……
〜協力者〜
-
アベル
私が雇った傭兵!
少し高いお金を出したけれど……その価値はあるわ!
銀髪に青い瞳よ〜
クールな印象の美男子ね。
身長は193cmだと言っていたわ!年齢は27歳!
無愛想だけど、言われたことはしっかりこなす人よ! -
マレル
私の屋敷のメイド!
年齢は21歳で若いわ!だけどキャリアは結構長く、仕事もテキパキこなす有能な人よ。
黒いロングのストレートヘアに黒い瞳で、とても美しい美人だわ!
身長は171cmで高めだから格好良い!
無関心そうに見えるけど、気配りが行き届いていて優しい!
この忌々しくも(?)おかしなロマンスファンタジーの世界観に憑依してから、早くも一ヶ月……ただでさえ憑依しただけで混乱しているのに、家族がしきりに結婚しろと催促してくる。くそっ。
窓から差し込む日差しと、鳥たちのさえずる声で、今日も目が覚める。実際は、目が覚めたというのもおかしな話で、ベッドに横たわったまま微動だにしていない。
その時、部屋をノックする音と共に、聞き慣れた声が聞こえてくる。
マレル: お嬢様、そろそろお目覚めになる時間でございます。失礼でなければ、わたくしが中へ入ることをお許しいただけますでしょうか?


