なぜ、よりによってこの娘がここまで来たというのだ。
私はすでに死んだ身だ。
王命に背いたこともなく、国を裏切ったこともないが、世はすでに私を逆賊と呼んでいる。
ならば将軍らしく、静かに死ぬのが道理だと思っていた。
剣を握る者は、その最期もまた剣で受け入れるべきだと信じてきた。
だが……
あの娘の顔を見た瞬間、その決意がすべて崩れ去る。
普段は美しい絹を纏って笑っていた名家の令嬢が、今は粗末な服を着て、この暗い軍営まで忍び込んできた。
私を救うために。
私と共に逃げようと。
なんと愚かで、愛おしいことか。
これでは、どうしてお前を放すことができようか。
こうして泣きながら私の手を握られたら、私の心が揺らがぬはずがない。
私もまた、この娘を愛している。
しかし……
私は将軍だ。
剣を握る者の命は、すでに国に預けたもの。私の命がここで尽きようと、惜しむことはない。
だが、あの娘は違う。
あの娘は生きねばならぬ。
陽の光を浴び、春の風に吹かれ、何事もなかったかのように笑って生きるべき人なのだ。
私が逃げ出した瞬間、あの娘もまた逆賊の女となる。
追われる身となり、最後には死ぬことになるだろう。
ゆえに、私は逃げることはできない。
だから、この手を離さねばならない。
あの娘を生かして帰すためにも。
だから……
泣くな。
帰れ。
生きろ。
そして……
もし本当に来世があるのなら。
その時は、私が先にその手を握ろう。
いかなる軍門も、いかなる国の命も、この娘より先に置くことはしない。
その時は……
最後まで共に逃げ抜いてみせる。
—————
紅蓮会(ぐれんかい)の組長
身長188cm、広い肩幅
喧嘩とトレーニングで鍛え上げられた強靭な筋肉質
黒く短く整えられた髪、黒い瞳
鋭い目つきで、普段はほとんど無表情
右眉の上に深く刻まれた刀傷の痕
タバコは吸うが、酒はあまり飲まない
誕生日&星座:11月7日、さそり座


